続・のあろぐ

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【読書】気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる

 読了。

気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる

気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる

 

 本書は、その名の通り、気にしすぎる人間のことについて書かれた本だ。現代人はとにかく人間関係に悩みまくる。LINEが既読になったのに返事が来ないことに悩む人。間違いを否定されただけで存在を全否定されたように思ってしまう人。

"(以下引用)「小さなことを気にしすぎてしまう」というのは、気にしてしまう人の性格の問題だと思われがちですが、実はそうではないことがほとんどです。脳の働きや、過去の経験、生活様式、親や家族との関係、生まれ持った気質など、さまざまなことが原因で「気にしすぎてクヨクヨ悩む」という心の動きはつくられているのです。"

こうしたクヨクヨ悩む人に対して、我々は「もっと気にせず生きろ」「ネガティブになるな」とアドバイスをしがちだ。しかし本書では、「無理やりプラス思考で考える」ことを、「間違った対応の最たるもの」という風に断じているのである。プラス思考を過剰に意識することで、クヨクヨ悩んでいた時よりも心の状態が悪化してしまうことがある、と本書では指摘している。

気にしすぎとはどういうことか

気にしすぎたりする人は、起きた出来事を過度にマイナスな出来事と決めつけてしまう「思考のクセ」を持っていて、物事を悪い方向に考えることが多い。同じことが「ストレス」にもいえて、同じことが起きてもそれをストレスと感じる人もいれば、まったく感じない人もいる。まずは、思考のクセに気づくことが重要である、といえる。

本書では思考のクセについていくつかのパターンを列挙している。例えば、白か黒かを一気に判断したくなる「白黒思考」などが典型的な例で、極端な考えしかできなくなったりする。それは、白黒をつけさえすれば、グレーゾーンに目を向けなくてすむので、心の余計なエネルギーを使わなくて済むからであると本書では指摘している。

マイナスの思考のクセが定着してくると、驚くべきことに、マイナスの行動が好きになってしまう。怒ることが生きがいになったり、あるいは悩むことが生きがいになってしまう。その状態に慣れると、人間は変化を嫌う傾向にあるため、「悩みグセ」がついてしまうのである…!

クヨクヨしてしまう原因は何か

では、なぜそのように物事を否定的に捉えてしまうのか。幾つかの原因があると本書では指摘している。例えば、「トラウマ」「愛着障害」などがそうだ。

まずトラウマ。トラウマが起こるときには、心のなかにマイナスの感情が起こる。この感情をグッと抑えてしまうことでトラウマが生まれる。本来、動物として起きるはずのストレス反応が完了しないので、このことを「未完了のストレス反応」という風に言うようだ。こうしたマイナスの感情が未消化のまま残ると、その後の人生のさまざまな場面で過剰なマイナス反応が出てくる場合があるという。

こうしたマイナス反応の一つが、「予期不安」。「失敗したらどうしよう」など、まだ起こってもいないことについて、過去の失敗などを思い出して、今回も失敗する……というような自分の姿を「予期」してしまうというのだ。

また愛着障害については、親などのもっとも身近な人から暴言を受けたとか、イライラをぶつけられるなどによって、愛情を深める行動(愛着行動)を断たれると、他人から愛される価値の無い人間なのではないかと思い込むようになり、自分を受け入れたり好きになることもできず、自分を過小に評価して劣等感にさいなまれることが多くなってしまう。

こうしたことの結果、自信がなくなり、相手の批判にとても弱く、相手が承認してくれるということに異常なまでにこだわる「自己愛性パーソナリティ」が形成されていく、という風に本書では述べられている。

その他、セロトニン神経、自律神経系のしくみから、クヨクヨ思考が起こるわけについて説明されている。また、HSP(Highly Sensitive Person)気質についても述べられている。生まれつき、特にさまざまなことに対して過敏な性質で、5人に1人はこのHSP気質であるというふうに認識されているようだ。ただ、HSP気質については、本書では「自分次第で変えられるもの」として捉えられている。

気にしすぎ人間はどうすればいいのか

冒頭にも述べたように、こうした状況を改善しようとして無理矢理にポジティブであろうとしてしまうと、自分の心の中にプレッシャーがかかってしまい、身動きがとれなくなってしまう。

本書では「受け入れること」が大切だと述べている。悪いところもいいところも判断をせず、自分をありのままに受け入れる。実践するのは難しいことではあるが、自分の性質を「気づき、認め、許す」ということが重要だという。

例えば前段で紹介したトラウマや愛着障害について。過去の記憶を呼び覚ますことは辛いことではあるが、自分の辛かった体験を思い出し、その気持を心のなかでことばに出して言ってみるということが重要であると本書では指摘している(細かいテクニックとしては、この時「あなたは、お母さんにああいわれて悲しかったんだ」というように、「私」ではなく「あなた」という二人称を使うこともおすすめされている)。気持ちをことばに出して、怒り、あるいは泣いて、その時に解消できなかった気持ちをひとつひとつ解消していく、という作業が、重要なのであるという。

このような記憶を掘り起こしていく「気づき、認め、許す」という作業は辛い時はあるが、すぐに受け入れられなくても、その存在に気づき、しっかり味わうことが大切である、と筆者は指摘している。

自分を受け入れられるようになれば、相手を受け入れることもできるような心の余裕ができる。自分を客観視することができるようになれば、相手を客観視することもできるようになる。このような練習を意識的に行うことで、相手に対してネガティブな決めつけフィルターをかけてしまうようなことをやめることができる。

ありのままの他人を受け入れ、許すことができるようになれば、勝手に相手の気持ちを悪い方向に深読みして、思い悩んだりクヨクヨするきっかけがなくなることにもつながっていく。

また、クヨクヨしてしまうときに、「クヨクヨ悩んでいるんだね、そうなんだ」と心のなかで自分に語りかけることで、客観的に自分を眺めるということができていくはずだ。こうしたことを、あせらず、自分のペースで行えるようにすることが非常に重要なのであると本書では述べている。

細かいテクニックも満載で実践的

本書を読み終えて、非常に細かいテクニックも満載でとても良い本だと感じた。例えば、HSP気質を持っている人へのアドバイスとして、イメージトレーニングの方法が書いてあったり、食生活のことについて細かく述べられていたりと、心理的に役立つ方法で、自分を内部から癒していくようなワークについてとても重視されていると感じる本だった。

いわゆる「うつ病」とまでは行かないまでも、現代社会にはさまざまなストレスや、さまざまな怒り・悲しみ・クヨクヨが潜んでいる。こうしたことにうまく対処できるようになるために、本書は最適な本だというように感じた。

 

気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる

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