続・のあろぐ

ゲーム、漫画、アニメで社会を豊かにしたいNoahの個人ブログ

ジェイン・マクゴニガル氏講演まとめ①―マクゴニガル姉妹の「世界を変えて、美しく生きる方法」

2015年11月18日夜に渋谷・ヒカリエで行われた、ジェイン・マクゴニガルとケリー・マクゴニガル姉妹の講演。Tokyo Work Design Week(TWDW)というやつの一貫で行われたイベントです。

そのうち、ジェイン・マクゴニガル氏の講演について、ざっとまとめさせていただきます。なお、内容には意訳などを含みますので、「大体こんなことを言っていた」という感じで捉えていただけるとありがたいです。

なお、概要については以下のサイトに上がっています。

wired.jp

(内容ここから)

人は多くの時間をゲームに費やしている

ご紹介ありがとうございます。"Tokyo Work Design Week"ということをテーマに講演できるということは大変興味深いことです。デザインというのは、私は「どのように人を幸せにするか」という事だと思っています。

では、私自身を幸せにしているものについても少し紹介させてください。

現在、17億8千万人のゲーマーが、一日平均して1時間程度をゲームに費やしていると言われています。これはよく、費やしすぎだと言われていますが、そうでしょうか。

また、日本では3人に1人の人がゲームをプレイしているそうです。これは素晴らしいことだと私は思います。

また、日本人のうち30万人の方が日常的に『モンスターストライク』をプレイしています。今までに『モンスターストライク』に費やされた時間を累計すると、46,232年分の時間に相当するのです!これは、87,500人がフルタイムで労働している時間とほぼ同じです。87,500人というのは、Google社員のほぼ2倍にあたる人数ですよ。

毎年平均で、1人あたり350時間をゲームに費やしています。これは、フルタイムでの労働の約2ヶ月分にあたります。そう考えると、皆さん、「あたかも職業のように」ゲームをプレイしていると思いませんか?

以上のことを私は喜ばしい事だと思いますが、もしかすると皆さんには朗報に聞こえないかもしれません。ゲームにはネガティブな印象があるからです。私自身も、「ゲーマー」という単語にはあまりいい印象を持っていません。ネガティブな印象を与えるからです。

私はゲーマーという代わりに、"Super Empowered Hopeful Individuals" - という風に呼んでいます。これの意味するところは、ゲームをする人というのは、チャレンジが好きで、楽観的で、意欲が高く、失敗から学べるとわかっている人です。そして、他の人から助けを得られるということもわかっている人です。

(ゲームに夢中になっている人の写真を見せながら)これはゲームを楽しんでいる人の写真です。どうですか?何をそんなに興奮しているのだろうと心配になりますか?これらの写真は、自分が達成したことの大きさにびっくりしているのですよ。

ゲームをすると脳は活性化する

ところで、ゲームをしている時に脳はどのような活動をしているのでしょうか。これは脳のスキャンをした様子です。ゲームをしている人の脳を、スタンフォード大学MRI撮影をしたものなんですね。ゲームをしている時には、脳の血流が多くなりアクティブになる部分があります。ゲームをすると脳が活性化するのです。

特に活性化するのが、意欲に関する部分です。ゴールに向かって決意を持って取り組めるようになります。すべてのゲームは、ゴールを達成する事が目的です。常に、つぎのゴールに向けて走っている状態にあるんですね。

それから、チャレンジするために情報を多く、そして早く集めようとする脳の部分も活性化します。常にゲームをするときには、人は学んでいるのです。特に失敗から学びます。新しいスキル、あるいは戦術といったものを学んでいきます。

言うまでもなく、学校や仕事、健康のためにも、脳を活性化させることは非常に有用なことですから、そういったところでゲームは役に立つのです。

ゲームをどうやって現実に役立たせるか?

さて、先ほどお見せしたように、日本は社会としてゲームに対する準備が出来ている国だと思っています。ゲームのマインドセット(思考様式)を活性化することができるとすれば、それは日本人だと思っています。

93%の日本人が、仕事にエンゲージメントがない。つまり、楽観的でないと感じています。言い換えれば、仕事に意義を感じていないということです。情熱が不足している、と言ってもいいかもしれません。これにより、社会で26兆円のコストが発生しています。

また、日本人の51%の人が、「人生が成功するか否かは、大抵の場合、外部要因―つまり自分の意思や決定とは関係のないところで決まってしまう、自分たちの力の及ばないところで決定してしまう」と思っています。

ゲームでは、自分の行動できる範囲で成功するかどうかが決まっていますよね。このことを実際の生活でも取り入れられたら素晴らしいと思いませんか?

メンタルヘルス上の問題が、仕事に悪い影響があったと感じている人が84%もいるのです。ゲームフルなマインドセットを持つことが重要です。うつ病の時に活性化してしまう脳の部位が、ゲームをしているときには完全にシャットダウンしている事が分かっています。うつ病は難しい病気ですが、ゲームをしているとき、脳はうつ状態とは真逆の脳の働きをしているのです。そこで、私はこう言うのです。「遊びの反対は仕事ではない。無気力である」と。

私は良く、双子の妹のケリー・マクゴニガルと話して、ケリーから教えてもらったことを自分で作ったゲームに取り入れているのです。それをケリーに話すと、"I'm game!"と言われます。"I'm game!"とは「私も入れて!」というような意味合いで、極めてアメリカ的なスラングなんです。これは、ゲーマーのマインドセットを実生活に活かせるポジティブな言葉だと思います。

人を冒険やチャレンジに誘いたいときに使うのです。そうすると、やるわ!という代わりに、"I'm game!"と返ってきます。これこそが、ゲームが実際にはチャレンジであるという証拠なのです。ゲームをする人は、オープンマインドで、やる気があり、失敗することをいとわない、熱意を持ってやっていく人たちなのです。

ゲーマーのマインドセットを実生活に活かしていくというのは重要なことです。実生活にどのように取り入れるか、という問題に取り組むために、私は『superbetter』というゲームを作りました。このゲームのプレイヤーは50万人もいます。

ゲームフルなマインドセットを持つと何が起こるか。高い社会的な達成が得られます。ストレスにもっとより良く対処できます。うつ状態や不安が軽減されます。人との関係を、より親密にすることができます。そして、人生に意味を見いだせるようになるのです。

 

以下、②に続く。

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