「この世界の片隅に」を観てきた(ネタバレなし)
上映映画館はこちらから。だんだん拡大しているとはいえ、まだまだ多いとはいえないです。
新宿ではテアトル新宿のみ。日曜、18時25分上映のものは17時45分ぐらいにいったらすでに満席で、立ち見席しかない状態。自分は予約していたので大丈夫でしたが、予約にしても金曜日の昼には8割ぐらい埋まっていました。まあ、要するに大人気です。
テアトル新宿ではたんぽぽ茶が飲めます。300円。森永のミルクキャラメルがつきます。この辺は微妙にストーリーと関係してますが、まあ微妙にという程度です。
で、映画の感想なのですが、うーんなるほどという感じです。これはいい。大衆向けに寄りすぎてはいない作品で、でも年配の方も含めて笑ったり泣いたりできる作品です。
戦争の時代を題材としていて、その時代に生きるすずという少女を中心に物語が描かれます。とてもその時代の描写がリアルです。
一番良いなと思ったのは、So What?の不在です。戦争を題材にすると、なんかこう、主義主張みたいなものが入ることが非常に多いような気がしています。不必要に「いいタイミング」で人が死んだりとか、演出で泣かせたりするみたいなのとか、そういう演出が兎角戦争を題材としたフィクションでは多いのですが、『この世界の片隅に』では、そのあたりが非常に素朴に描かれていて、「だからこうだ」というものを押し付けてきたりしない。このあたりは非常に配慮ある描かれ方だと思います。
ところで、私の祖母はもう90近いのですが、戦争経験者です。祖母の母は、戦争で亡くなりました。しかも、祖母の誕生日に空襲で亡くなったと聞いています。祖母がまだ10代の頃です。
祖母は時々最近、戦争の時どんな感じだったかというのを私に聞かせてくれるのですが、それまでは「つらすぎて、言えなかった。思い出したくなかった」と言っていました。それほどまでに、辛いのですが、それでも誰かに伝えておかないといけないという危機感のような思いから色々言っていくことにしたそうなのです。
そういう人から見ると、例えば祖母から見るとこの映画はどういう受け取り方をするんだろうか、と思いながら、『この世界の片隅に』自体は私の目から見れば非常に名作だと思ったのですが、祖母からしたらどうだろう、と思いながら映画を観ていました。
戦争を体験していない人にとっては、この話は非常にリアリティをもったアート、表現作品として観られるだろうと思うのですが、祖母にとっては、リアリティを持ちすぎていて、観ていて辛いかもしれない。いくら、すずが明るい性格として描かれているとはいえ、この話はあまりに、同時代に生きるひとにとっては。
やや複雑な思いでしたが、祖母がもし興味を示すようであれば、観てもらって感想を聞きたいなと思っています。