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【読書】からっぽ!10分間瞑想が忙しいココロを楽にする アンディ・プディコム著

 読了。

からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする

からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする

 

 ちょっと長くなりそうですがまとめてみます。最後に自分用に、ステップごとの瞑想エクササイズの抜き書きを付けておきます。

著者について

  • 筆者であるアンディ・プディコムはイギリス保健医療委員会公認の臨床瞑想コンサルタントチベット仏僧などのキャリアを経て帰国、2004年に瞑想普及のための団体「ヘッドスペース」を創設し、瞑想を身近なものにするための普及活動を行っている。iOSなどを含めてアプリも出ている。

www.headspace.com

  • 彼の理念は、瞑想を身近にし、現代人の生活にフィットしやすい取っ付き易いものにし、一日10分座って瞑想することが、散歩するのと同じぐらいあたりまえのことになること。そこで、「10分間瞑想」と「いつでも集中」という2つのツールを考案した。

瞑想のメリット

  • 瞑想は医療の世界では「マインドフルネス」として研究されている。慢性不安、鬱病、依存、不眠、筋肉の緊張、月経前症候群(PMS)などのストレス性症状の緩和に有効。仕事以外にも、趣味やスポーツでより良い成果を挙げるためにも利用されている。
  • 瞑想を8週間程度実践した被験者は、ポジティブな思考状態をつかさどっている脳の左前面部分が活性化したことがわかった。また、リラクゼーション反応が起こり、免疫系が大幅に強化されることがわかっている。8週間瞑想を実施したうつ病の患者の90%が不安な状態が大幅に改善したとしている。また、実際に痛みを感じる部分の脳が構造的に変化し、痛みやストレスに強い脳ができることがわかった。
  • 人間関係もスムーズになる。瞑想でより良い精神状態を手に入れられると他人とよりポジティブに関われるようになる。
  • 「マインドフルネス」とは、「今ここ」に集中することで、瞑想のテクニックの中心となる要素。本書ではこれを、「いつでも集中」と名づけている。一時的なストレスに支配されることなく、心を落ち着け、今やっていることに集中する感覚を身につけることができる。
  • 瞑想するためには自分の夢や目標を諦めなければならないかというと、そうではない。むしろ瞑想には、目標を明確化し、後押しする効果がある。自分が人生で向かっている場所に自信を持つことができ、予想外の障害や好ましくない結果に傷ついたり落ち込んだりすることがあっても、過度にとらわれなくなる
  • 瞑想の利用法は二種類。アスピリン的に、溜まったストレスを除く方法として使う方法。そしてもう一つ重要なことは、瞑想している時の心の状態を、生活の残りの部分にも取り入れられるようになること。

瞑想に良くある誤解と、テクニック

  • 瞑想というのは「考えないこと」「思考を止める」ことだという誤解がある。実際には、「思考や心をコントロールしない」ということが重要。思考の奴隷になるのをやめる。思考や感情から一歩距離を置き、車の往来を眺める傍観者のように、ただ思念が通り過ぎるのを見ていれば良い。
  • 格好の良い車(つまり面白いアイディア)が通り過ぎた時もそれを追うことなく、古くて錆びた車(つまり好ましくない考え)が湧いた時にも道路に出ないようにする。道路に出ている事に気づいたら、我に返るチャンス。
  • そのうち、道路に走り出たくなる(つまり思考にとらわれる)ことが減り、思念が通り過ぎるのをただ座って見ているのがだんだん簡単になってくる。これが瞑想の正しい過程である。
  • 心をコントロールしようとする癖はとても強いもので、すぐに思考に逆らう。そうするとさらに余計な考えが生まれ、考えまいとする度にパニックになる。思考は野生の馬のようなものだ。自分の思考にも動き回れるスペースを与えてやり、自然に落ち着ける場所に来られるようにしてやるイメージで、無理に押さえつけようとしない
  • 著者は妹の死や惨事などのいくつかのトラウマを体験し、悲しみに支配されている時期があった。瞑想では、悲しみのありかを探すようアドバイスされた。瞑想では、心をオープンにして観察することが非常に重要になる。感情が浮かんでは消えるのを観察し、その感情に対して「いい」とか「悪い」とかの価値判断をしないことが重要
  • 瞑想は心のなかの何かを取り出してきて分析したり理解することではない。それは瞑想ではなくて思考である。瞑想は観劇に似ている。あなたの役目は、観客として、展開する思考の物語を見て、観察して、目撃することだけ。それが「意識する」ということだ。

10分間瞑想の手順

  • 真剣に何かに集中したときには心が落ち着き、穏やかな気分になる。瞑想はこれに似ている。何か心を集中する対象を決める(「瞑想の対象」などと呼ばれる)。従来の瞑想のバリエーションとしては、特定の物体を見つめたり、特定の音を聞くこと、フレーズを唱えることなどの外的な対象や、呼吸や身体の感覚に集中すること、心のなかに特定のイメージを思い浮かべることなどがある。10分間瞑想では、呼吸を瞑想の対象として利用する。柔軟性が高く、どこでもできるから。
  • この上で、2つの効果を狙っていく。一つ目は今あるストレスから解放されること。もうひとつは、瞑想の状態を日々の生活の中に取り入れる。こうすると、ストレスが生じて解消することが必要になる前に、そもそもストレスを生じさせないようにすることができる

以下が、10分間瞑想の手順。

準備

できれば5~10分前ぐらいから心を落ち着けておく。

1.背筋を伸ばして楽に座れる場所を見つける

2.瞑想中に邪魔が入らないようにする。携帯電話の電源は切る。

3.タイマーを10分間にセットする。

導入

1.5回深呼吸をする。鼻から息を吸って口から出す。その後、呼吸を自然なリズムにもどし、鼻呼吸に切り替えてよい。軽く目を閉じる。

2.身体が椅子に触れている部分や床に付いている足の感覚に集中する。

3.上から下に向かって身体をスキャンし、楽でリラックスしている部分、こわばったり張ったりしている部分を感じる。

4.自分の今のムード、気分を感じる

心を集中する

1.呼吸の出入りをもっとも強く感じる場所を確かめる

2.一回ごとの呼吸の感触やリズムを確かめる。長いか短いか、深いか浅いか、苦しいか楽か

3.呼吸を静かに数える。息が出入りする感覚に集中し、吸った時に「1」吐いた時に「2」という具合に10まで数えていく。10以上数えてしまったり、10数える前に心が別の所に向いてしまうことはよくあることで、その場合にはまた途中からでも1からでも数えなおせばよい。

4.このサイクルを5~10回、または時間のある限り繰り返す

しめくくり

1.一切の集中をやめて、20秒ほどのあいだ心を自由にさせる。心がせわしなくても落ち着いていてもそのままにする

2.身体が椅子に触れている部分や床についている足の感覚に意識を戻す

3.そっと目を開け、準備ができたと思ったら立ち上がる

 

10分間瞑想を続けるヒント

  • 瞑想はやらなければ効果はないし、定期的に瞑想してはじめて、メリットが得られる。毎日行うことがとても重要。コンディションによらない。どんな心理状態でも、瞑想の出発点としてふさわしくない状態はない。
  • 瞑想をするのにベストな時間は朝一番。静かな時間帯であることが一番の理由。また、継続するためにさまざまなToDoが入ってきてしまうとついつい先延ばししてしまうので、一番最初に持ってくるのが良い。
  • 神経科学的にも、反復していくことで脳の好ましい変化が起こることが指摘されている。新しい行動や精神活動のパターンが作られていく。一日や二日で判断せず、最低でも10日間続けてみるまでは、諦めたりしないこと。毎日たった10分の習慣で良い。
  • 瞑想をはじめてみて、自分が体験したことを書き留めておくのも有用。散歩にした時に目についたものを書くぐらいのつもりでかけばよい。必ずしも一日ごとに集中度や深い理解が増していくということはない。
  • 不安がある場合、不満そのものに向けて瞑想するのはやめて、不安に抵抗しようとする自分の心に注目する。不安そのものは放っておけば自然にあらわれては消えるもの。不安をコントロールしようとする自分の強迫観念が、実際には不安を増幅している。
  • 考えることについて考えるというパターンに陥らないようにする。自分の心を「矯正」しようとしない。

「いつでも集中」の極意

  • 本書で述べる「いつでも集中」とは、10分間瞑想とは違うので、目を閉じたり呼吸に集中する必要はない。「いつでも集中」とは、「今、ここ」に在ること、自分が今どこにいて何をしているかを意識すること。必要なのは意識することだけで、もっとも簡単な方法は、集中するポイントをもつこと。心がどこか行っていたことに気づく度に、ただその本来の焦点に注意を戻せばいい。
  • 例として歯磨き。慣れた動作で、わかりやすい焦点があり、時間はせいぜい数分程度なので意識を保っていられる。ただし、いつもの歯磨きとは違う。ブラシが歯に触れる音、腕が前後左右に動く感覚、歯磨き粉の味や匂いなど、何らかの肉体感覚を意識し、それを焦点にするとやりやすい。これらの対象のどれか一つだけに集中することで、心が落ち着いてくる。こうした観察に意味がある。
  • 一杯の水を飲むことを例にとった場合も、時間をかけてその体験を観察する。グラスの温度や手触り、口に近づいていく手の動き、口に入る水の味や舌触りなどを感じる。これらの段階の何処かで心がさまよい出していることに気づいたら、ただ水を飲むという動作に注意を戻せばいい。
  • 誰かと一緒にいるときに「いつでも集中」を実践することができないのではないか、という心配はしなくてよい。実際には、自分のしていることに意識を向けることで、むしろ人と過ごす時間は密度の濃いものになる。
  • 「いつでも集中」のためだけに時間を作る必要はない。じっと座っている間でなくても、日々の生活の中の作業に集中するということはできる。毎朝10分の瞑想のあいだだけ意識をとぎすませ、残りの23時間50分をなんとか切り抜けようとするという考え方をやめて、「いつでも集中」を一日を通じてできるものと考える。いつ何をしていようと、していることだけに100%の注意を向けるということをする。そうすると、本当はどこに行きたいとか、実は何がしたいとか、こうでなくてああなっていたら、などと考えることが不可能になる(これがストレスのもとになる)。
  • 感情についても同様に、不愉快な気分が起こったらその反応を観察し、感情が浮かんで消えるのを観察する。例えば食事にしても、最初の何口か以外は、ほとんど意識半分で食べていて、そこに集中はしていない。思考の「自動操縦」の状態から解放されること。
  • 瞑想だけしていても、日ごろの感情や行動を変えられなければ意味が無いので、必ず「いつでも集中」も行う。10分間の瞑想は、「いつでも集中」をするための精神状態を作るのには役立つが、自分の内面の状態にばかりとらわれて意識をとぎすませるのを忘れてしまえば、瞑想していない時に衝動的な反応をしてしまう。
  • 一日10分の瞑想と合せ、歯磨きなどから始めて、毎日している行動を「今、ここ」に在るための支点として利用する。一日のうちのあちこちに、短い「いつでも集中」の時間が点在するようになる。これらの積み重ねの効果はあなどれない。

とにかくやってみることが重要

本書では、実践の重要性が繰り返し説かれている。いくら本を読んで知識を得ても実践しなければわからない。合間合間にエクササイズとその解説が入っているので、納得感を持ちながら続けていくことができる。以下はエクササイズの抜き書き。

エクササイズ1:今座っている場所から動かず、軽く目を閉じ、1~2分何もせずそのままでいる。色々な考えが頭に浮かんできても構わないので、今の段階では浮かんでは消えるに任せる。何もせずにじっと座っているのがどんな感じか体験してみる。

エクササイズ2:五感の一つに軽く意識を集中してみる。目を閉じて背景の音に意識を集中するか、壁の一点や特定のものをじっと見つめてみても良い。ただし、軽くゆったりと行う。何かの考えが浮かんだり、別の五感に気を取られたらもう一度集中する対象に意識を戻して続ける。

エクササイズ3:今度は身体の感覚に集中する。お尻が椅子に押し付けられている感覚や、足の裏が床に触れている感覚などに集中し、心のなかに何があっても安らかな気分でいられるという考えに立ち返ってみる。2分間程度。心がさまよい、別のことを考えていたと気づいたら、そのたびにもとの肉体感覚にそっと注意を戻してみる。

エクササイズ4:再び身体の感覚に集中する。ただし、今回は身体の何処かの心地よい感覚または不快な感覚に集中する。軽く感じられるような心地よい感覚は人と分け合い、張りや痛みを感じるような不快な感覚は誰か大切な人のために味わい、引き受けるという心構えで2分ほど、そういった感覚を感じてみる。

→我々は不快な感覚を取り除こうとしてしまうが、それは筋肉や思考の緊張を生む。逆に不快な感覚を受容し、逃げないようにゆったりすることで、緊張を取り除くことができる。

エクササイズ5:2分ほど。最初に身体の感覚を意識し、その背後にある感情について観察してみる。身体は重く感じるか、落ち着いているか、解放感を感じるかなどのチェックを20~30秒ほどかけて行い、次に今の呼吸の感じを確かめてみる。この過程で、自分がどのような気分になっているかを見つめてみる。よく分からなくても、練習するごとにだんだん分かるようになるので心配しないこと。

エクササイズ6:頭のてっぺんから始めて、足の爪先まで、全身を心のなかでスキャンする。最初はすばやく頭からつま先までを10秒ほどでスキャンする。つぎはもう少しゆっくり、20秒ほどかけてスキャンする。最後にさらにじっくり、30~40秒ほどかけてスキャンする。その過程で、身体のどの部分がリラックスしているか、どの部分に緊張や痛みが感じられるか確かめる。判断を下したり分析したりしない。心がどこかに行ってしまったら、それに気づいた時点でまた戻ってスキャンを再開する。

エクササイズ7:ここからは「いつでも集中」の訓練。食べながら「今、ここ」を意識する。できれば一人で、邪魔が入らない状態でテーブルにつき、食べ物に集中する。原産地はどこか、育てた人のことまで想像する。早く食べたいといらだっていないかについても確かめる。食べ物があるという事実を認め、感謝する気持ちを持つ。食べ物を味わっている間は、体の感覚や心の反応などに気を配る。心がどこかに行っていると気づいたら、もう一度食べるという行為に気持ちを戻す。

エクササイズ8:歩くさいに「いつでも集中」のエクササイズ。歩き始めたら身体の感覚を確かめる。身体が重いか軽いか、こわばっているかリラックスしているか、に意識を向ける。ただどんな感じかを観察する。次に身の回りの目に入るものに気づく。見えるものについてなにか考える必要はなく、ただ見るだけ。これに30秒ほどかける。次に音に注意を向け、一瞬だけ意識を横切って行くようなイメージで、意識をちらっと向ける。これにも30秒ほど。次に匂い。これも30秒ほど。最後に、肉体的な感覚。足の裏の感じや日光の暖かさ、寒さ、などの感覚を感じる。30秒。これについてただ意識を向けるだけで、この感覚について考えこむ必要はない。周囲のものをすべて締め出すほど強く意識を集中する必要はない。むしろ身の回りで起こっていることにオープンな態度をもつこと。

エクササイズ9:走る際の「いつでも集中」のエクササイズ。ランニングする前に今の気分を感じてみる。不安や自信、あるいは無関心。走りだす前に何回か深呼吸。集中が高まり、気持ちが安定。走りだしたら周囲のあらゆるものに対する意識をするどく保つのと同時に、自分の身体にも注意を向ける。身体のどこかにこわばっているような場所があっても、今までのエクササイズと同じように、どうにかしてそれを消したくなるような衝動には逆らう。単に意識をする。手軽で一般的な集中の対象は、歩く時とおなじく、足の裏が地面をける感覚、リズム。

エクササイズ10:眠りながら「今、ここ」を意識するエクササイズ。10~15分ほど。ベッドに入る前に、普段寝る前にしていることすべてを済ませる。あおむけに寝て行うのがベスト。身体がベッドに沈み込む感覚、身体が支えられる感じ、一日が終わってもう何もしなくてもいいということにしばし意識を向ける。横になったら5回深呼吸する。鼻から吸って口から出す。息を吐くときには、その日の思考や感情が遠くに消えていき、身体のこわばりや緊張がほぐれていくのをイメージする。準備が整ったら、つぎのエクササイズ。

①身体と心に感じていることに意識を向ける。次に、身体に感じる感触により詳しく注目する。音にも注目し、それが自分で変えられる音か、それとも自分ではコントロールできない、どうにもならない音なのかを認識する。抵抗する代わりに、そっと注意を向け、30秒ほどでまた身体に注意を戻す。次に全身の感じをスキャンする。次に、呼吸が出入りする感覚に注意を向ける。正しい呼吸とか間違った呼吸とかはないので、呼吸しているその時の感覚をそのまま感じる。何らかの形で変えようとしないようにする。

②集中的かつ体系的にその日一日を振り返る。目覚めた直後、覚えている限りでその日最初の瞬間を思い出す。3分ほどかけて、今日一日のことを、今この瞬間まで思い出す。それ以上かけないように。いやなことなどを思い出し、気がそれていた事に気づいたら、また心のなかで上映されていた映画に戻り中断していたところから再開する。

③体の感覚に再び注意を戻す。左足の小指から、スイッチを切るようなイメージを行う。これをすべての指、指の付け根、土踏まず、かかと、足首、ヒザ下…というように続け、腰まで同じように続ける。右足でも同じようなことを繰り返す前に、スイッチを切った足とそうでない足の感触の違いを確かめる。右足も行ったら、胴体から上がっていって、頭までのコントロールを手放していく。あとは好きなだけ心をさまよわせ、つぎからつぎに浮かぶ連想に任せ、眠りに落ちるまで好きなところにいかせてやる。

以上がこの本のまとめでした。

 瞑想の方法をしっかりマスターして、心を豊かにするとともに、自分のものの見方の変化にも気づき、気分のアップダウンは環境の変化よりむしろ自分の心の受け止め方の問題だということに意識が向くようにしていきたいものです。

からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする

からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする

 

 上がKindle版、下が紙版です。

からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする

からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする